« 2017年2月 | トップページ | 2017年4月 »

2017年3月の3件の記事

2017年3月25日 (土)

静岡市清水・霊山寺大内観音で二十八部衆を拝観

静岡市清水区の古刹、霊山寺(大内観音)さま。毎年3月第一日曜日にお祭りがあると聞き、お参りしてきました。

1490379599752.jpg


1490379601319.jpg


秘仏の千手観音さまの扉は、残念ながら開きませんでしたが、許可をいただき、個性豊かな二十八部衆を間近で拝むことができました。

霊山寺は駿河湾を見下ろす大内山の中腹にあります。かつてはお寺の灯りが船の道しるべになったそうです。昔も今も、急な山道を歩かなければお堂にたどり着けません。

普段は無住で、わずか30軒のお檀家さまが守っておられるそうです。大変なご苦労だと思います。よそ者の私に「えー、東京から来たのー。甘酒飲んでいってねー」と優しく明るく声をかけてくださいました。

人と山と古い仏像に癒やされ、元気をいただきました。


1490379596647.jpg

1490379598467.jpg


1490379602842.jpg

1490379605969.jpg

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017年3月22日 (水)

小諸市・十念寺の二十五菩薩来迎会~極楽鳥や不動明王、毘沙門天も登場(後世に伝えたい!)~

浅間山をのぞむ長野県小諸市平原地区、十念寺(時宗)には、二十五菩薩来迎会(らいごうえ)が伝わります。

1490133556763.jpg

(春霞の浅間山、かろうじて見えますか~?)

小諸市の「郷土伝統芸能のつどい」というイベント(会場は小諸市民会館)で、この来迎会の短縮版が披露されると聞き、出かけてきました。

1490133557103.jpg

1490133557346.jpg

「西の當麻寺、東の十念寺」。このイベントで、そのような紹介がなされました。
十念寺の来迎会は奈良県・當麻寺と並ぶ、東西の双璧だというのです。

しかしながら、十念寺は戦後(1949年)の火災でお堂が消失。幸いにも菩薩面は焼けずに残りましたが、来迎橋をかけた本格的な練り歩きはできなくなったそうです。

来迎会保存会はこの貴重な伝統を守ろうと、年に一回(毎年3月27日)、お面を出して念仏講を行うほか、平成23年には上田市小泉の大日堂のご開帳時に出向いて、練供養を行ったそうです 。

市や保存会に話を伺う中でわかったのですが、実際に十念寺の菩薩さまが練り歩く機会は、本当に限られているようです。
小泉大日堂のご開帳は半開帳を含め、30年に一度。小諸市の「郷土伝統芸能のつどい」は5年ごとの開催です。 市民会館のイベントへの出演とはいえ、この機会が大変貴重なものであることがわかります。

今回披露された十念寺の練供養は、以下の構成になっていました。

1) 極楽鳥の舞

2) 天人の舞

3) 二十五菩薩の登場(先頭が不動明王、最後尾が毘沙門天。阿弥陀も菩薩の列に)

4) 観音勢至が行者を引接

   1490133891436.jpg


さて、これまで見てきた他の二十五菩薩来迎会と比較しつつ、十念寺の来迎会の特徴をみていきます。

○極楽鳥と天人の舞で浄土を表す

まず、二十五菩薩がお出ましになる前に、極楽の鳥二羽が登場し、それぞれ対をなす動きで舞いながら練ります。 続いて、天人が二人、やはり対をなす動きで舞いながら練ります。 極楽鳥と天人の動きには、静かでリズミカルな火炎太鼓の伴奏が伴います。 これは二十五菩薩の登場の前に、極楽浄土を再現したもので、十念寺独自のものだそうです。 極楽鳥の衣装と機敏な動きに胸が高鳴ります! 実は私、迦陵頻伽のファンなのです。そういえば、大阪・大念仏寺の練供養では、迦陵頻伽の舞がありますね。

1490133558143.jpg 1490133558371.jpg

○不動明王と毘沙門天が登場!

極楽の鳥と天人が去った舞台に、ついに二十五菩薩が登場します。 多くの練供養では、観音勢至が先頭かと思うのですが、なんと、十念寺では、不動明王さまが先頭に立って歩きます! 大きな火炎光背を背負い、剣を握りしめていました。驚くのはそれだけではありません。二十五菩薩の最後には毘沙門天さまが登場します。 不動明王と毘沙門天が菩薩の警護役を務めているのでしょうか。大変珍しいと思います。

1490133557637.jpg

○阿弥陀如来さまも登場! 

二十五菩薩の列の真ん中辺りに、放射線状の光背を背負い、菩薩さまとは異なる装束の方が登場されます。それが阿弥陀如来さまです。このように人が阿弥陀さま演じるのは、岡山・弘法寺の迎講阿弥陀如来をのぞき、あまり例がないと思います。

1490141220255.jpg

○菩薩に付き添い人なし

菩薩さまだけではなく、極楽鳥も天人もすべてに付き添い人がいませんでした。 お面をかぶると視界が悪くなるので、當麻寺を含め、他の練供養では、必ず誰かが菩薩さまの手を引いて助けます。しかし、十念寺では、そんな過保護なことはしません。みんな自力で、しかも身体を左右にふる動きを加えながら練り歩くのです!  

1490141220986.jpg

○来迎引接を受けるのは行者

ステージの中央に置かれた小さな行者の像。それが来迎されます。當麻寺での中将姫様、美作誕生寺での法然上人ご父母像にあたるものです。

阿弥陀さまと菩薩たちが見守るなか、観音勢至が前に出て、独特の動きで行者を観音の持つ蓮台に載せます。

****************************

この日は、この引接のシーンをもって終了となりました。

通常だと1時間20分かかるそうですが、今回は35分間のショートバージョンでした。

それでも、十念寺の練供養の素晴らしさと独自性はとてもよく伝わりました。感動しました。

「西の當麻寺、東の十念寺」という誇り高いフレーズも納得できました。

これから本格的に復興させて、後世まで末永く受け継いでほしい...。そう願っています。

十念寺は私にとって謎ばかりのお寺です。 小諸市平原地区まで歩いてみると、浅間山を見上げる静かな場所でした。 どんなお寺か一目拝見したかったのですが、残念ながら、Googleマップで住所検索しても出てこず、十念寺まではたどり着けませんでした。

私の調査不足もあるのかもしれませんが、十念寺の練供養についてネットで調べてもほとんど出てきません。いつどこで行われているのかも分からず、私にとっては「幻の来迎会」でした。練供養ファンにもあまり知られていないのではないでしょうか?

私は思うのです。 これを幻で終わらせてよいのでしょうか?

このような独自の練供養が信濃に残っていること。それをもっと多くの人に知ってもらえればと願いつつ、私はこれを書きました。

今回は、昨年末に市役所にメールで問い合わせたことがきっかけとなり、市役所経由で保存会の方に連絡できました。やっとのことで、「郷土伝統芸能のつどい」にたどり着けたのです。

書きながら、自分の情報不足、勉強不足を痛感しています。もし詳しい方がいらしたら、教えていただきたいです。

最後に一つだけ、二十五菩薩来迎会は「芸能」ではありません。美しい浄土系仏教の芸術だと思います。

※ビデオ撮影に夢中で、ろくな写真が撮れていません…。それだけが残念です。 写真よりずっと本物が素晴らしいです!

| | コメント (0)

2017年3月 3日 (金)

熊谷市の愛染堂と愛染明王さま

埼玉県熊谷市で、修理が終わった愛染堂の縁日にお参りしてきました。温かなコミュニティに支えられた、とても素敵な空間でした。

1488470312616.jpg


<愛染明王坐像>
愛染堂のご本尊、愛染明王さまは像高150センチ、台座を含めると240センチ。かなり大きさがありながら、三目六臂の異形がうまくまとまっており、仏師の力量が伺えます。
赤い六本の腕は、さわると温かくて弾力を感じるのではないか…と、思えるほど。基本的に恐ろしいお姿なのに、温かさを感じました。
また、あの細い線で描かれた髪の毛を見ると、仏師は慶派好きなのかな…と思ったりします。
江戸初期の作と推定されていますが、調査したらもっと遡る可能性もあると伺いました。

1488470313097.jpg


<仏像の保存とは>
お堂の隣に、畳敷きの小さな自治会館があり、仏像修理の牧野隆夫先生の講演会が開かれました。仏像を"文化財" として保存することはもちろん大切です。しかし、保存が唯一の目的になってしまって、衆生から切り離すようなやり方は本末転倒なのでは…と考えさせる内容でした。

地方の古仏を訪ね歩いていると、今後の保存が心配になることがあります。少子高齢化や地方の衰退など、個人の力ではどうにもできない問題を感じます。コミュニティが力を合わせ、地元の大学生や小学生まで巻き込んで愛染堂を復活させたこちらの事例は、他の地域の参考になるのではないでしょうか。修理を終えたお堂に愛染明王像を遷座する際、地元の人々がお練りで引っぱって移動したという話にはほろりとしました。


1488470313441.jpg

<利根川>
熊谷といえば、利根川の向こう側(群馬)の光恩寺さま(鎌倉時代の阿弥陀三尊)をお参りするために先月立ち寄ったばかりです。利根川のこちら側(つまり熊谷市)には、妻沼の国宝聖天堂もあり、昨日、初めてお参りできました。熊谷というか、利根川を挟んだ両地域の歴史的文化の高さを感じました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2017年2月 | トップページ | 2017年4月 »