美作誕生寺の二十五菩薩練供養(来迎会)
日本三大練供養の一つ、岡山県、美作誕生寺の二十五菩薩練供養に行ってきました。
二十五菩薩練供養とは、阿弥陀如来が二十五菩薩を従えて臨終者を来迎するさまを演じるものです。人が菩薩さまに扮装し、いわゆる「お迎え」の場面を見せてくれるのです。
もともと練供養は、平安時代、浄土信仰の高まりとともに教化のために始められたそうです。その頃は来迎会(らいごうえ)と呼ばれていたのですが、江戸時代に庶民の間に広まるにつれ娯楽性が加味され、練供養と呼ばれるようになったそうです。今では、この二つの呼び名がどちらも使われているようです。
最も有名なのが、中将姫で有名な奈良県當麻寺の練供養で、1000年以上も絶えることなく続けられています。當麻寺と岡山県瀬戸内市の弘法寺(こうぼうじ)の練供養とあわせて、三大練供養とよばれています。どちらも年に一回、春の決まった日に行われています。
三つともに拝見しましたが、それぞれ歴史もやり方も違います。どれもすばらしいです。
誕生寺では、練供養の行列は重文の本堂(御影堂)を出発し、境内を出て参道を歩きます。300メートル離れた娑婆堂(地蔵堂)まで行き、そこで臨終者をお迎えして、また本堂に戻ってくるというルートです。
ここ誕生寺の一番の特徴は、来迎される対象(臨終者)かと思います。當麻寺と弘法寺では、中将姫が阿弥陀さまに来迎されるのに対し、誕生寺では、浄土宗開祖、法然上人のご両親が毎年交代で来迎されます。今年はお母様が来迎されました。
誕生寺は法然上人ご生誕の地に立つ古刹で、法然二十五霊場の第一番札所でもあります。来迎者が法然上人のご両親というのは、このお寺にふさわしく、感動します。
誕生寺の練供養はもっと地味かと思っていたのですが、華やかでした。まず、菩薩さまのお面が小顔サイズで、着物もおしゃれです。安室奈美恵ちゃんが菩薩さまになったら、さぞかし素敵だろうと一瞬頭をよぎったほどです。特に、先頭を歩く地蔵菩薩さまは赤い帽子に赤いお召し物がとてもかわいらしかったので、私が作ったコラージュ写真でご確認くださいw 浄土宗の他の寺院からの応援もかなり手厚いようで、参列する僧侶の数も多かったです。
臨終のとき阿弥陀さまが雲に乗ってお迎えに来てくださる。そう信じるための手段が練供養なのだと思います。そして、そう信じることで、日々を強く生きていけるのだと私は思います。
晴天の下、尊敬する法然上人ゆかりのお寺で来迎会を参拝できたことに感謝します。
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