« 久しぶりの見仏記で法然上人を読む! | トップページ | はらぺこヒヨドリの2014年仏像拝観リスト(すみません、無駄に長いです) »

2015年2月22日 (日)

自然と仏と神が一体になる日本の信仰の真髄がここにある!白洲正子『十一面観音巡礼』

世田谷美術館で白洲正子展を見てから3年が経ち、やっと彼女の著作を読む機会に恵まれた。
この展覧会でも痛いほど伝わってきたことだが、白洲の関心は、自然と仏と神が一体となる日本の古来の信仰の美しさにあると思う。その美しさが、十一面観音にフォーカスすることで明らかにされていく。
本書の冒頭に登場するのが、奈良県桜井市の聖林寺の住職から白洲が昭和の初めに聞いたという話である。この住職が少年の頃、大神神社から十一面観音像と地蔵菩薩像を台車に積んで聖林寺まで運ぶのを手伝ったのだという。あのフェノロサも付き添ったのだそうだ。聖林寺を訪れた人ならわかると思うが、この移動はかなりの登り坂である。廃仏毀釈の吹き荒れるなか、二体の仏像を必死で守ろうとする日本人と米国人の姿を想像し、こみ上げるものがあった。
この冒頭のシーンだけでも何度読み返しただろう。ここ以外にも何度も読み返したくなる箇所があり、わたしは毎晩少しずつ、途中で前のページを繰りながら読み進めた。そのようにして読むのが楽しい本だった。
東大寺お水取りの説明も詳しく、印象に残っている。これも自然と仏と神が混在する話である。神と仏と人と自然との間の愉快で、おおらかで、しかも優しいエピソードに、日本の心の美しさを感じぜずにはいられない。
英語訳でも読みたいと思って探してみたのだが、出版されていないようだ。日本の美しさを伝える名作なだけに、残念である。
ああ、本書を片手に、十一面観音さまを訪ねる旅に出たい。

|

« 久しぶりの見仏記で法然上人を読む! | トップページ | はらぺこヒヨドリの2014年仏像拝観リスト(すみません、無駄に長いです) »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 自然と仏と神が一体になる日本の信仰の真髄がここにある!白洲正子『十一面観音巡礼』:

« 久しぶりの見仏記で法然上人を読む! | トップページ | はらぺこヒヨドリの2014年仏像拝観リスト(すみません、無駄に長いです) »