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2013年12月20日 (金)

神武寺(神奈川県逗子)薬師堂~すす払い特別拝観

参拝日: 2013年12月13日(午前中のすす払い特別拝観)
拝観した仏さま:
 神武寺(じんむじ)
 薬師堂=薬師堂の秘仏薬師三尊、朽ちた仏様(十一面観音と釈迦如来像らしい)、十二神将、四天王、地蔵菩薩坐像、三猿像、行基坐像、びんづる様
 本堂=来迎阿弥陀三尊立像、十一面観音坐像
 みろくやぐら=弥勒菩薩坐像(石仏)
 大木の根っこの六地蔵(石仏)など

 

P1080587 (注1)

 神武寺薬師堂の薬師三尊は33年に一度ご開帳される秘仏(次回は2017年)だが、毎年12月13日の午前中に行われる「すす払い」の間に拝観できる。
 山の中にある境内を訪ねてみると、行基創建と伝えられる古刹らしさが漂う清浄な空間だった。仏像や古刹が好きな方にお勧めしたい。
 今回の訪問にあたり情報がなかなか見当たらなかったので、がんばって参拝記録を書いてみた。

P1080547

(1) 表参道を通って神武寺まで
 神武寺はJR東逗子駅または京急神武寺駅から徒歩30分ほど。JR東逗子駅からの道が表参道、京急駅からが裏参道となっているため、JR駅から歩いてみることにした。駅を出て大通りを進むと神武寺参道の入口に大きな石の案内がある。ここから山道をまっすぐ登ればいいだけなので、迷うことはない。なかなか本格的な山道。

P1080564

(2) 薬師堂ご開帳
 薬師堂に到着したのは午前10時50分頃。まだ法要が続けられていた。薬師堂の真ん中で僧侶の方が読経しておられ、その周りに参拝者の方々が座っていた。堂内作り付けの厨子は開かれていたが、座った状態からでは秘仏薬師三尊のお姿はよく見えない。
 しばらくすると法要が終わり、参拝者一人一人が順に薬師さまの前まで進んで拝観できるようになった。「すす払い」特別拝観の時間は「9時から正午まで」となっているが、法要は9時からずっと続けられていたのかどうか定かではない。ただ、法要中は秘仏薬師三尊のお姿がよく見えないので、法要終了間際の時間に到着できてよかったと思った。
 薬師三尊は室町時代作の逗子市指定文化財で、如来さまが69.8センチ、日光月光両菩薩さまが立像でそれぞれ58センチ、59.5センチという大きさ。薬師さまは優しく微笑んでおられる。髪型が編み込みのように彫られており、金沢文庫の院派の釈迦如来立像を思い出した。日光菩薩さまのお茶目な瞳に惹かれた。
 三尊をまつる厨子の奥には、二体の朽ちた木製の仏様も。行基作とされる十一面観音さまと釈迦如来さまだという(注1)。また、この厨子自体も立派で、きれいな色彩が残っており、見ごたえがある。
 三尊の前には四天王さま。おそらく50~60センチほどの小像ながら、色彩もきれいで迫力もあり、見ごたえがある。
 厨子の左右には十二神将さま。12体おそろいで、玉眼を光らせている。
 左側にきれいな木造の行基菩薩坐像。その前の小さなお厨子にやはり小さな地蔵菩薩坐像。厨子の前に、歴史を感じさせる愛らしい三猿像。木造の三猿は珍しいのでは。

 これだけ素晴らしいと普段の開扉状況が気になる。係の方にお聞きした限りでは、普段は薬師堂の扉自体が閉められているとのこと。1月8日の初薬師のときに、薬師堂の扉は開くが、堂内のご本尊の厨子が開くのは12月13日の午前中と33年に一度のご開帳のときだけだそう。

(3) 本堂
 本堂に入ると、中央奥の正面に阿弥陀三尊。三尊とも立ったお姿。たぶん60センチくらいと思われる小さな像が本堂奥の高いところにまつられていて、肉眼では見えにくい。双眼鏡でのぞくと優しく微笑んだ阿弥陀さまのお顔が見えた。向かって左に蓮華座を手にした観音さま、右に合掌した勢至菩薩さま(普通と逆の配置ですね)。めっちゃ好みの来迎阿弥陀三尊であられた。この三尊にお会いするだけでも再訪したいくらいだ。また、阿弥陀三尊の正面右の厨子の中に十一面観音坐像。鎌倉の荏柄天神社の本地仏だったとされる美しいお像。単眼鏡か双眼鏡の持参をお勧めしたい。

(4) みろくやぐら
 神武寺は山の中にあって境内の配置が複雑で分かりにくい。「みろくやぐら」にいらっしゃる石仏弥勒菩薩さまにお会いしたかったのだが、その場所がまったく検討がつかなかった。係の方にお尋ねしたところ、ご丁寧にやぐらまでご案内いただき、事なきを得た。その場所は、神武寺の墓地の中にあった。
 逗子市の重要文化財サイトによると、このやぐらは、「鶴岡八幡宮舞楽士 中原光 氏の墳墓窟」であり、「墳葬者の俗名を知ることのできた唯一のやぐら」なのだそうだ。
 やぐらの中の石仏の弥勒さまには、一度破損したものが再度接着された形跡が残っていた。鎌倉時代の作のわりに汚れや白カビがなく、きれいなのは、おそらく水洗いかなにか、定期的に清掃しているからだろうか。おりしも、近くのお墓をお参りに来ていらした男性がお墓をきれいにしているところだった。このやぐらと石像もご先祖様のお墓と同じように大切にされているのだろう。信仰の深さを感じて、石像の写真を撮ることをためらった。
 なお、「左右の壁に掘られた穴のなかに安置された石塔(無縫塔)は、近世以降の神武寺歴代住職の墓塔」(同サイト)とのこと。

P1080565

(5) 裏参道から京急神武寺駅へ
 帰りは裏参道を行くことにした。この裏参道は表参道以上に本格的な山道である。苔むした細い道に枯葉が落ちている状態なので、雨の日はつらいかもしれない。

(6) あわせて参拝したい仏さま

P1080574 (東昌寺 丈六阿弥陀さま)

 京急神武寺駅のそばに東昌寺があり、丈六の阿弥陀如来坐像がいらっしゃる。事前にお電話して訪れたところ、阿弥陀堂の扉を開けてくださった。逗子市サイトによると、阿弥陀さまの像高が259.5センチ、台座の高さ103.5センチ。もとは運慶作と伝えられる阿弥陀如来坐像があったようだが、1727年に火災で焼失。1756年に再興。有力な鎌倉仏師、三橋家が造立したことが分かっているとのこと。
 その後、京急新逗子駅そばの宗泰寺の木造十王および奪衣婆坐像を拝観したいと思って足を運んだが、「毎年8月に開帳しているので、そのときにまた来てください」とインターホン越しに言われてしまった。逗子市の文化財サイトに写真がある。
 また、今回は訪問できなかったが、東逗子駅近くの海宝院と光照寺に逗子の文化財になっている仏像がいらっしゃるので、朝早くにこちらを参拝してから神武寺に向かうというのもありかと思った。もしまた神武寺ご開帳時にお参りできることがあれば、実際に拝観できるのかどうかを確認したい。
 さらに、JR逗子駅から徒歩15分の場所に、坂東観音の札所、岩殿寺がある。長い階段があるそうなので、神武寺とのダブルヘッダーは体力次第か。この日はとても風が強かったこともあり、別の機会に参拝することにした。

注※1 別冊太陽『太陽の地図帳018 日本の秘仏を旅する』(平凡社、2013年)より

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