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2009年3月 4日 (水)

国宝三井寺展1 黄不動尊(仏画)と新羅明神坐像

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訪ねた展覧会: 国宝 三井寺展

        (サントリー美術館 200927日~315日)

        (大阪市立美術館→サントリー美術館→福岡市立美術館に巡回)

訪ねた日:2009225

 滋賀県にある天台密教のお寺 三井寺。

 その絶対秘仏に近い仏像や仏画が今、東京のサントリー美術館で公開されている。

 私は特に、秘仏中の秘仏と聞いていた仏画の黄不動尊と、それをもとに刻まれたと言われる仏像の不動明王立像にお会いしたく、六本木まで出かけてきた。

 密教系の仏像には本当に驚かされる。今回の展覧会のポスターにもなった鎌倉時代の不動明王立像などは、もしも何の事前知識もなくいきなり本物を拝見していたら、きっとその場で卒倒したに違いない。それほどの迫力と威厳と高い芸術性をたたえていた。その他にも素晴らしい仏像や仏画にたくさんお会いできたので、いくつか紹介したい。

(1) 国宝の仏画 不動明王像(黄不動尊)

 黄不動尊(仏画)の写本を東京芸大美術館で拝見したのは何年前だったろう。そのときの強烈なイメージが忘れられないまま年月は流れた。

 その正真正銘のオリジナルであり、三井寺の秘仏中の秘仏である黄不動尊がサントリー美術館にお出ましになると聞き、出かけてきた。

 2009225日は、国宝・黄不動尊(仏画)が後期展示として初めて東京でお披露目となる日だった。開館とほぼ同時に入場し、さっそく本物の前に歩み寄った。

 やはり本物はすごい。大きいし、温かい。優しいのに威厳がある。

 この仏画は、智証大師 円珍の目の前に現れた仏の姿を写し取ったと伝えられる。山中で修行していた円珍の前に現れたお不動さまが、「あなたは仏道によく精進しているから、私はあなたを守る。私の姿を写し取って、毎日拝みなさい」とおっしゃったのだそうだ。

 この話を聞いて、私は少し首をひねった。

 本来、お釈迦さまは仏像や仏画を禁じたはず。仏さまが自ら、自身の姿を表現しろというのは、少なくとも私は聞いたことがなかった。自己顕示欲が強いのか? でも、目の前の黄不動さまには、そんな自我の強さは感じられなかった。

 このお不動さまには、物理的な力の強さだけでなく、慈愛の強さ、それに伴う威厳のようなものを感じる。9世紀に遡るこのお不動さまには、後世の作品に見られるような天地眼や牙上下出による激しい憤怒の表現はなされていない。それがかえって、威厳を高めているのだろうか。がっしりとした腕や胸、脚が力強さを表しているとも言えるだろう。

 しかし、私が特に引き付けられるのは、このお不動さまの大きく見開いた二つの眼だった。大きな両眼の黒目の真ん中に白い点が描かれている。ここから光を差し込んでくるような感じがした。その光に慈愛と力強さを感じたのだと思う。

(2) 国宝 新羅明神坐像

 円珍はこのお黄不動さまとの出会い以外にも、生涯のうちで不思議な経験をたくさんされたそうだ。その代表が新羅明神さまとの出会いである。新羅明神さまの彫刻も出展されていたが、これも秘仏で、国宝だという。

 真っ白の顔に、垂れ下がった赤い両目と、突き出した鼻で、微笑んでいる。異国風の服を身にまとったお体全体も細いが、差し出した両手の指はさらに、異常なまでに細い。新・日曜美術館の特集でこのお像を見たときは、正直、「なんじゃこりゃー」という印象だった。神像は各種残されているが、これほどまでに異様なお姿は初めてだった。

 しかし、本物のお像にお会いしたときは、テレビで見たほどの異様さは感じられなかった。テレビですでに免疫があったということもあるかもしれない。しかし、目の前のお像はテレビで見るより穏やかで繊細な表情であり、さほどおどろおどろしくない。指先も繊細で気持ち悪くない。ただ、色あせたお洋服の色が赤っぽいので、作成された当初は、白塗りの顔との対比が際立ち、もっと印象が違っていたのかもしれない。

 このお像をお祭りする新羅善神堂も国宝なのだそうだ。展示室にこのお堂の写真が飾られていたが、かやぶき風の屋根が素敵だった。

(つづく)

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