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2009年7月 8日 (水)

尼門跡寺院の世界展@東京芸大美術館

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展覧会名:尼門跡寺院の世界展

       ―皇女たちの信仰と御所文化

     Amamonzeki

     A Hidden Heritage: Treasures of

     the Japanese Imperial Convents

開催期間: 2009414日~614

開催場所: 東京藝術大学大学美術館

主 催:  東京藝術大学、中世日本研究所、産経新聞社

訪問した日: 200955

 阿修羅展で影が薄い印象があったが、それと重なる時期に同じ東京・上野で開催されていたこの展覧会は、尼門跡という特殊な世界の歴史と文化を紹介する大変興味深い展覧会だった。

 尼門跡とは、皇族・公家など、高貴な女性の入寺によって営まれてきた独特な品格をもつ寺院で、奈良の中宮寺や法華寺、京都の大聖寺、宝鏡寺など、京都と奈良に今でも13か寺が残されているという(展覧会のパンフより)。

 尼門跡は古くは78世紀の時代の尼寺に始まり、江戸時代には皇室とのゆかりによる「御所文化」が育まれ、独特の宗教儀礼や信仰生活が形作られた(展覧会パンフより)。

 展覧会場に入ってすぐの場所に、奈良の法華寺のお堂を再現した展示があり、国宝の十一面観音立像(私は究極の癒し系観音さまだと思っている)のご分身である模刻(松久朋琳 作)や、善財童子立像(昭和時代20c)が展示されていた。法華寺では毎年春に、2030センチの善財童子像を55体、お堂におまつりする「ひな会式」という儀式が行われている。このかわいらしい善財童子像が「ひな」と呼ばれており、ひな祭りの起源とも言われているそうだ。

 この段階ですでに一般寺院との文化の違いに気づかされる。善財童子は文殊菩薩に仕える童子として、渡海文殊の群像(安倍文殊院などの例が有名)によく登場する、大変かわいらしい仏像だ。渡海文殊の群像では、いかめしい顔や老人の姿の仏像も登場するのに対し、この仏像界のアイドルともいえる善財童子のみを何体も集めるという感性に私はひかれる。一般寺院には見られない感性だと思う。

2009年のひな会式の模様については、読売新聞の記事http://osaka.yomiuri.co.jp/season/20090402kn04.htmで読める。写真がかわいらしいので是非ご覧ください)

 また、奈良の中宮寺に関しては、58年に建設された現本堂の前の旧本堂におけるお厨子の配置が展示されていた。それによると、旧本堂では、木製のお厨子が3つ並んでおり、中央のお厨子に国宝の半跏菩薩さまが、その両脇の同じ大きさのお厨子には、聖徳太子さまと弘法大師さまの像がそれぞれおまつりされていた。現本堂とは大分違う印象に驚いた。現本堂もいいが、1体ずつ大切にお厨子におまつりするという旧本堂の律儀さも捨てがたい。

 中宮寺関連では、お経の紙を利用した紙製の文殊菩薩像(鎌倉時代、重要文化財)も出展されていた。これは東京国立博物館に寄託されている仏像で、何度かお会いしたことがあるが、何度拝見してもかわいらしい。

 今回の展示では、各門跡寺院で利用された昔のお茶碗や、すずり箱、書見台、色紙箱といった文具などのお道具(主に江戸時代のもの)も展示されていたが、どれも小さくて繊細でかわいらしかった。また、入寺した子女の教育に使われた鳥絵や花絵のカルタ(主に1819c)も、源氏物語をモチーフにした貝桶や合貝(桃山時代)も、かわいらしくて楽しかった。

その一方、写経などに自分の毛髪や指の爪を使うなど、一瞬どきりとする表現方法も用いられてきた。

 こういった門跡独自の文化が紹介された展覧会場で中宮寺の紙製の文殊菩薩さまにお会いすると、紙を利用したという特殊な工程と、実にかわいらしいお姿が、門跡という文化のなかで生み出され、守られてきたことに気づかされる。

 仏像はあまり出展されていなかったが、門跡という特殊な文化にふれることができ、大変意義深い展覧会だった。

※ 写真は展覧会パンフレットの表面と裏面。表面の散華に目を奪われる。

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